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鹿沼街道、さくら通り交差点、石川治療院です。

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穴の話

自然は貴重な植物をつくる。
でも自然はその食べ方までは
教えてくれない。
辛い実。
苦い種。
堅い根。
刺激の強い実。
人はそれらで
おいしいカレーがつくれると
どうして知ったのだろう。
どこのどなたか存じませんが
この世界にカレーを
ありがとう

エスビー食品CM「地の恵みと人の知恵」は、自然への敬愛の情と、生活の中から築き上げてきた文化を賛美する素敵なキャッチ・コピー。「カレー」はインド文明の医食同源の粋といえます。
インドが地水火風のアーユルヴェーダーなら、中国は陰陽五行です。
古代中国の伝説の神「神農」は百草の味や水質を知ろうとして、ひどい時には「一日に70の毒に遭った」が、神農の捨て身の万人への慈愛のおかげで、後人は「神農本草経」を著し、古代中国医学の基礎を作り上げたといいます。
「神農」の実在を探ることに興味はありませんが、古代中国文明が生薬を手にしていく過程はロマンに満ちています。色や匂い、姿かたちから、食べられるもの。あく抜きして食べられるもの。毒性はあるが加工して食べられるものなどに分類選別し、毒性のあるものの中から、毒性そのものが、ある症状を好転させる力を持つものを見出し。さらにそれらを組み合わせることで身体の自然治癒力を引き出すことを発見しました。漢方薬の原料を見ると、生姜やセリ、オオバコやゴマなど、台所で調理されるものや道端にあって見向きもされなかった草木が沢山あります。
 身体の中から「自然治癒力」を引き出すと共に、「神仙思想」に見られるように、古代中国では身体の精妙なエネルギーの通り道を利用して、自然と一体となる道を探し求めました。
(また鍼治療の歴史と広がりは、一般に考えられている以上で、オーストリア・チロル地方の氷河の中から発見された約5200年前のミイラ(通称:アイスマン)から、関節炎や骨折痕さらに鍼灸治療の痕跡が確認されているといわれています。中国4000年の歴史に培われた伝統東洋医学という側面では語りきれない「歴史」も新たに発見されています)

「穴の発見」(まんが経穴入門から)
経穴の起源は、石器時代までさかのぼる。当時人間はまだ、動物の種から分かれたばかりで、物事を認識、理解する能力も幼稚だった。生存する環境も劣悪で、医療や保健は望むべくも無かった。
 そんなある時、狩の途中でとがった石や植物のトゲで体表を傷つけてしまったり、出血することで、本来あった痛みが偶然楽になるという現象が度々起こった。
 同じような現象を何度も経験することで、人々がこの現象に興味を持つようになった。石のかたまりなどで体表を刺激すると、痛みが軽減することを徐々に覚えていった。
 新石器時代に入ると、生産能力が向上し、人々は研磨技術を身につけるようになり、かなり精巧な刺針治療用の石器を作り始める。それが「砭石」と呼ばれる鍼具の誕生。(ちなみに病気で亡くなられた方、もしくは長く闘病なさった方に「薬石効なく長逝いたしました」などと、別れの言葉に綴られるときがありますが、この時言われる「石」が砭石を指している)
 砭石は刺針治療用に使うだけでなく、感染によって化膿した局所を切開し排膿するなど外科疾患に積極的に使われるようになった。これらの道具は「鍼石」「鑱石」などと呼ばれている。
 製作技術の進歩に伴い、動物の骨、竹木、陶土などが使われるようになった。砭石に比べると加工しやすく、刺針道具に適していた。この頃のことは古典文献に多数記載がある。
 灸法の発見も経穴の発展に多大な貢献をした。灸法とは体表上のある部位に固定的な温熱刺激を加えることで疾病を治療する方法。
火を使い始めると、まず火に向かい暖をとるようになり、後に火であぶった石や土のかたまりを身体に当てて寒さを除くことを覚えていった。それからそれを身体のある部位に当てると、寒さを防ぐだけじゃなく、ある種の疼痛を軽減できることに気がついた。
 さらに古人は、ある部位を焼灼することで、疾病の症状が軽減することも発見した。その中でも植物の枯葉を燃やせば、体表上の特定の部位に顕著な効果が得られた。斯が灸法の起源だ!
 伝説上の人物、伏義が九鍼を創ったとういう説話は、砭石誕生の基礎の上に成り立っている。殷商から秦漢までに治金技術が飛躍的に発展したことが鍼の道具の進歩に多大な影響を与えている。

 人類史は、自然からの収奪の歴史でした。自然と一体だった昔には、ありのままに「欲すること」「行うこと」が天地自然の理にかなっていました。しかし、その自然の掌から離れ、道具を利用し、知性に目覚めた時から、人は自然と対立するようになりました。
けれども、ひとたび身体に緊急事態が起こると、人は「大いなるもの」や「自然」に救いを求めるようになります。誠に身勝手な生き物ですが、母なる自然は、私たちに自然との調和から逸脱しようとする時に、リセットすることの出来るボタン(経絡経穴)を備えてくれました。
その深遠さ、緻密さに驚かされながら、その神秘にひき付けられて、私は18年余りの月日を過ごしてまいりました。
陰陽五行の哲学は、中国古代思想全般を貫いています。その理論をベースに鍼灸では穴を駆使して、私たちの身体の不調和を「月の満ち欠け」や「季節のエネルギー」まで用いて調整します。
「太古には人はみな百歳を超えて、その動作に衰えるところがなかった」と伝えられております。
人の営みの何が違い、何が変わらないのでしょうか?
・・・何時の時代も「呼吸」「食事」「動作」「想念」が身体に及ぼす影響は同じように思われます。
身体を老いさせ、病気にしているのは、私たち自身かもしれません。

どこのどなたか存じませんが、この世界に穴(ツボ)をありがとう!

acupuncture and moxibustion 石川治療院

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