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戦国時代のハラノムシ


戦国時代のハラノムシ―『針聞書』のゆかいな病魔たち
「針聞書」に描かれたムシたちは奇妙な姿をしてどこか可愛さがあります。ムシ達は愛嬌があるけれど、時に命まで奪い取る怖さも持ち合わせていました。旧来の世襲制を墨守する官医が形骸化した技術と知識しか持たなくなっていった時に、このゆかいな病魔を描いた著者の茨木元行は(現代に置き換えればオカルティックな医者で、おそらく病者の五臓六腑にこのムシ達を「透視」できたのだろうと思います)病気について尋ねられたときに、より明確に説明できたうえ多くの病者を治療したものと思われます。
藤田紘一郎(寄生虫博士。自らの腸内で15年間6代にわたり条虫(サナダムシ)を飼育していたという)先生が飼っていたような実在するムシではなく、このあやしくも不思議なムシ達はおなかが痛い、からだがだるいといった病気の様子を表したものです。「腹のムシの居所が悪い」とか「ムシが好かない」「ムシ酸がはしる」「ムシがいい」「ムシが合う」「ムシの知らせ」etc人々はたくさんの行動や感情を虫にたとえました。当時の人たちは半ば当たり前のこととして、ムシの行...いを受け入れていたと考えます。真っ暗な闇夜、果てしない原野と大海原。天地の中に人の存在が有り、寒さや熱さにたいする備えも充分ではなく、飢えや渇きにさいなまれ、神仏や幽霊や妖怪、ムシたちとも共存して、衆生はその人生を全うしていたと思われます。
この本が当時の歴とした医学書であることは疑い様もありません、たとえば「馬癇」(うまかん)の治療法として「つねに心臓を丈人にする処置をおこたらないようにする.この虫に対する鍼術は色々で、口伝に教えることがたくさんある。発作の前も後も(虫の成長する前も成長した後も)鍼を立てるツボはまったく同じである。ぜったい潟法を施してはならない。 (すばやく鍼を刺してはげしく動かし、ゆっくり鍼を抜き、鍼跡はもまない。荒々しく鍼を刺して痛みが強すぎると、心臓に負担がかかる)などに見られるような、「はげしく動かし」はいただけないけれど、心臓の差込痛に対する鍼ならば充分に参考になるような手技についても記されていて、また湯液についても妥当性のあるものが多いようです。
笑ってしまうところも多々あって、「欠伸のムシ」(あくびのむし)では
棲息域 心臓。
特徴 蛇のような真っ赤な胴に毛がはえ、口はあくびの格好をしている。
病状 虫が心臓に侵入すると、とりつかれた人は大あくびをする。そして、心臓の血流が乱されると睡魔に襲われる。
治療法 勝木(ウルシ科ヌルデの葉)にアブラムシが産卵してできた虫癭)を煎じて呑むと消滅する。
よく「欠伸のムシをかみ殺して」などと言いますが、欠伸という生理作用を説明するのにも、悪さをするムシがいるところ、またその程度のことに治療法があるというのも笑えます。(なぜにタンニンを含む濃いお茶を飲むなどしなかったのでしょう)
「牛癇」(ぎゅうかん)では治療法の最後に「成長して角が伸びきってしまうと治りにくい」や「鬼胎」(きたい)にいたっては「鍼を刺してムシが逆ギレし、症状が悪化するならば、むしろほどこさないほうが良い。ノロノロしたムシの動きに合わせた鍼術のコツは、口伝に教えることがたくさんある。
など、いかにも鍼先にそのムシを捕らえている様子や、そのムシが成長するさまが描かれていて、やっぱり可笑しさのある病魔たちです。前述の藤田紘一郎先生は花粉症の原因は寄生虫を撲滅しすぎたためと考えています。私達はゲノムの解析を終えてデザイナーズ・ベイビーを射程に入れている時代に生きています。また一方で抗生物質に耐性を持った菌や、未知のウィルスにさらされている現状があります。「針聞書」に描かれたこのムシたちを愛でて癒され、新たな時代のムシたちと共存する力にできますように・・・下記URLから眺めてみてください。http://www.kyuhaku.jp/collection/collection_harikiki-2.html

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