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腸の働き

NHKの「生命大躍進」が話題になりましたが、些か人間中心主義に過ぎ、他の生命体の「長所」を「長所」として見ていないような気がしてならないように思われます。

藤田紘一郎氏の「腸内革命」に感銘を受けました。

私たち人間は進化の過程で、脳を持たず、腸を情報の処理や伝達に神経系を発達させた生物である腔腸動物(ヒドラ、イソギンチャクなど)をくぐっているのですが、腔腸動物は微小脳に「進化」して(小型、経量、低コスト)地球上で最も繁栄した動物となった昆虫(節足動物)を頂点とした「腹側神経系動物」に、もう一つは脳を有する哺乳類(脊椎動物)その頂点に立つ人間を含む「背側神経系動物」に2分裂して「進化」してきました。...
 網の目のように張りめぐらされた神経系を有する腸は、脳に先立って神経系の発達を遂げたのであり、その素早い情報処理能力は的確で、たとえば害あるものが腸に入ってくると、大量の液体を分泌して下痢を起こさせ、有害度が高ければ、下痢にとどまらず嘔吐の指令を瞬時に出して命を守る働きを片時も休むことなく行っております。このような優れた防御反応を持っているからこそ、添加物やファス・トフードに旨みを感じ、身体に有害な食物に簡単に「誘惑」されてしまう脳の過ちをフォローし、生命を維持することが出来ているのです。まさに「第2の脳」と呼ぶにふさわしい活躍です。

藤田紘一郎氏は脳とストレスの関係についても言及しております。日本では年間約3万人が自殺するということです。精神的、肉体的ストレスが加わると、脳の中の視床下部という組織に刺激が伝わり、セロトニンの放出量が減少します。セロトニンと鬱との関連も研究され明らかになってきているようですが、セロトニンが多く分泌されると熟睡できるということも解ってきました。

腸には脳に「幸せ物質」を初めとする重要な神経伝達物質を送るという働きがあります。代表的なものがセロトニンやドーパミンですが、驚いたことに、人間のカテコールアミンやヒスタミン、アセチルコリンなどの神経伝達物質の合成に関する酵素は細菌からそのまま人間に直接的に伝達されているということです。(本来ならば細菌間の情報伝達に使われていた物質が「生物界」を超えて、その宿主である人間へも作用しているというのです)進化の過程でセロトニンは腔腸動物の腸の中で神経伝達物質の中心的な役割を果たしてきましたが、現代ではセロトニンは人間の精神活動に深く関与し、ドーパミンとともに私たちの「幸せ度」「健康度」を大きく左右しています。

そんな「幸せ物質」を作り出している場所が腸内フローラ(花畑)という場所です。その腸内バランスは「善玉菌いっぱい、悪玉菌少々」が理想で、年齢とともに「善玉菌」の象徴でもあるビフィズス菌は減り続けているということです。日本の伝統食は理想的な腸内フローラを形成するのに最適でした。戦前、戦中の世代の人の便の量は現代人の2、3倍ほども(350g~400g)有ったとのことです。便の量が多ければ、吸着して排出してくれる有害物質も多くなります。腸内は悪玉菌が減少し、ビフィズス菌などの善玉菌が増えます。当然、セロトニン、ドーパミンといった「幸せ物質」も増えます。伝統的な日本食が腸内環境を整えるのとは対照的に、欧米食、さらに合成保存料や発色剤が入った食品は腸内環境を悪化させます。

理想的な腸内環境の基では免疫機能が正常に働き、アトピーや花粉症に代表されるアレルギーも抑制できるということです。

また毎日、私たちの体内には癌細胞が発生しますが(その数は3000個~7000個くらいになるのですが)それでも癌が発病しないのはNK細胞や「Th1」が生産するインターフェロンなどが毎日癌細胞を監視し攻撃してくれるからです。腸内細菌が活性化すれば免疫のバランスが整い癌も防げるというのです。

まさに良い事ずくめの腸内細菌ですが、藤田紘一郎氏は現代の育児や、清潔な環境がもたらしている危険性について警鐘を鳴らします。子供が口にする玩具をウェットティシュで丁寧に拭いて、身の周りを抗菌、除菌グッズでかため、殺菌効果のある薬用石鹸でゴシゴシ手を洗い、うがい薬でガラガラやると、皮膚を守っている常在菌まで殺してしまい、のどの粘膜を傷つけ、抗菌・除菌成分の一部が体内に入れば、90パーセント以上がビフィズス菌などの善玉菌で占められている乳幼児の腸内フローラで悪玉菌が増えてしまうことが心配されます。また風邪の原因の90パーセントがウィルスによるもので、抗生物質はウィルスにほぼ無力といいますが、ちょっとした痒みや虫刺されで病院にいっても、抗生物質やステロイドを含む薬が処方されます。親の意識が問われます。権威や「常識」にとらわれて、人任せにしていては、子供たちの身を守ることが出来ない世の中になってきております。

藤田紘一郎氏は云います「ホリスティックな視点から人体を診ていくことが求められている」寄生虫博士の異名を持ち「サナダムシに名前をつけて体内に飼っている」という風変わりなイメージがあったのですが、生命の神秘に惹かれ研究の道に入り、真摯に病と向き合ってきた氏の言葉に感激しました。


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